京都府美山町と名田庄村をつなぐ、国道162号の旧道。これは旺文社発行の関西ツーリングマップルにもガイド付きで掲載されおり、実際その程度の道である。「その程度」というとあるいは語弊があるかも知れないが、バイクでも楽に越えられるようなという意味であって、道の雰囲気や保存状況などは秀逸である。鉈も鎌も必要としない、一般向けの旧道と言えよう。

美山町中心部からこの旧道の入り口まではかなりの距離があり、気候の不安定な春先などに行くと、あるいは報告者のごとくに向かい風に泣かされるかも知れない。とにかくも、鶴が岡のあたりの谷筋を抜ければ、奥が深く底の広い谷を行く、といった感じになる。旧道への分岐は国道から斜め右方向へ分岐しており、これは行程中唯一の(まともな)分岐でもあるのでわかりやすいであろう。入ってすぐは1.5車線幅の広い地道で、崖下に落ちたガードレールがかつての往来を物語っている。ヘアピン部分で少々狭くなるものの、峠までは広めの道が続き、充分に乗って行ける道である。峠までの道のりの長さはこの付近の旧道中随一であろう。

堀越というからにはさぞかしな切り通しであろうと思いつつ登ったのだが、峠は意外に開けた峠であった。左右になだらかな稜線は越える方向にもなだらかで、そのせいで「堀」のように「越す」なのであろうか。従って、峠からの展望は皆無である。看板の類もなし。

北側の道は現国道の通る谷とは別の谷に出るため、全くもって静かである。普通の旧道ならば同じ谷に出てきて、下のほうでエンジン音がかすかに聞こえたりするものだが、ここの場合は違う。山塊中の一つの皺に過ぎない、人里離れた山中という言葉がそのままあてはまる場所である。南に比べて少々荒れているが、展望がいいためにさほど苦にはならないであろう。ひとしきり静寂を楽しんでのち、現国道と合流する寸前に、旧ツーリングマップにもあった「自然の展望台」がある。ここから見下ろす新道と名田庄村の小さな家々は見事である。
現国道は右手から下ってきて合流。名田庄中心部への新道の下りもなかなか楽しめる道である。が、登るとなったら大変だろう。あの勾配は。
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