|行政:福井県高浜町〜大飯町標高:250m
|1/25000地形図:高浜(宮津8号‐3)調査:1999年4月

 大飯から西へ、内陸に伸びる細長い谷。日本海に対して平行に走るこの谷から日本海へ抜けるための峠が福谷坂峠である。本来ならば「福谷坂」で切ったほうが正しいのかも知れないが、ここでは地形図上での名称である「福谷坂峠」で話を進めよう。(地形図絶対主義ではない。「標準語」と同じで、意思疎通にはこうした規格を使ったほうが便利だと思うのみである)


 南から行こうとすると、旺文社発行の関西ツーリングマップルの表記どおりではないので注意が必要。トンネルのずいぶん手前で左手に分岐し、トンネル上部を越えて右手の斜面へ登っていく形になっている(ツーリングマップルでは直接右手に分岐するように書かれている)。林間で見通しの効かない登りのあと、峠まである程度開けた斜面となる。道は全舗装である。峠そのものははどこにでもありそうなコンクリートの切り通しであるが、かなりの年月を経た、苔むした世界である。


 この峠の特筆すべきことは北側の峠道の展望であろう。峠を越えた先からは一面の日本海である(峠からは少し木が邪魔してしまう。数十mも下れば眺め良好)。天候が良ければなかなかの構図になるはずである。南から登ってきてこの眺めを楽しむのもいいが、筆者のように北から登っても面白い経験ができると思う。こちらがわの峠道は、海のすぐそばとはいえ、信州や九州南部の山岳地帯の登りに匹敵するような大きなスケールを有している。
 北側の旧道分岐はトンネルに向かって右手の斜面に向かうものであるが、トンネルよりずいぶん手前にあるため見落としてしまうかも知れない。私が訪れたのは2月下旬であったが、この旧道入り口付近には松の枯れ葉が一面に散っていて、さながら赤い絨毯を敷いたごとくになっていた。道すがらの竹薮には野猿もいて、慌てて登ろうとした小猿が滑って落っこちたのもほほえましい光景として印象に残っている。



 

 

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